小学生の場面緘黙(かんもく)|家庭と学校でできる対応・支援と相談先

発達・特性ガイド|場面緘黙

「家ではよく話すのに、学校では一言も話さない」——それは場面緘黙(かんもく)かもしれません。本人はわざと黙っているのではなく、強い不安で「話したくても話せない」状態です。この記事では、小学生の場面緘黙への家庭・学校での対応、やってはいけない関わり、相談先までを、実践的に整理してお伝えします。

発達・特性ガイド > 場面緘黙
にじいろ編集部
2026.7.23
目次

場面緘黙(かんもく)とは?

場面緘黙(選択性緘黙)は、家庭など安心できる場所では話せるのに、学校など特定の社会的な場面になると話したくても声が出せなくなる状態が続くものです。わがままや反抗、性格の問題ではなく、強い不安が背景にある不安症の一つと考えられています。本人は「話さない」のではなく「話せなくて困っている」——ここが出発点です。

「なぜ話せないのか」をもっと知りたい方へ

場面緘黙の背景やメカニズムは、こちらの記事でくわしく解説しています:【場面緘黙】家では話せるのに学校で話せないのはなぜ?校長が解説。本記事は、その先の「家庭と学校でどう対応するか・どこに相談するか」に絞ってお伝えします。

小学生に見られるサイン

  • 家では普通に話すのに、学校ではほとんど声を出さない状態が続く(目安として1か月以上)
  • あてられても答えられない/音読や発表が極端に苦手
  • うなずき・指さし・筆談などでは応じられることがある
  • 体が固まる、表情が乏しくなる(緘動)ことも
  • 本人はまじめで、家庭では困りごとが見えにくい

対応の基本——「話させよう」としないこと

やりがちだけれど逆効果なこと

「頑張って話してごらん」と促す、みんなの前で発言させる、話せたら大げさにほめる——こうした働きかけは、かえって不安とプレッシャーを強めてしまうことがあります。まずは「話さなくても大丈夫」という安心をつくることが最優先です。

  • 安心できる環境づくり:話すことを求めず、うなずきや筆談など話す以外の参加を認める
  • スモールステップ:話す前の段階(その場にいる→ジェスチャー→小声→特定の人と…)を一つずつ、本人のペースで
  • 成功体験を静かに積む:できたことを大げさにせず、さりげなく受けとめる
  • 早めの理解と支援:時間がたつほど固定しやすいため、早い段階での連携が大切

家庭でできること

教室で担任の先生が子どもの席のとなりにしゃがみ、やさしく声をかけている場面のイラスト
  • 「話せない」を責めず、本人の不安に寄り添う
  • 学校の様子を問い詰めない。安心して帰れる家であることを大切に
  • 好きなこと・得意なことで自信を育てる
  • 友だちと少人数で遊べる機会など、安心できる場を広げる

学校でできる配慮・連携

  • 発表・音読・点呼などを本人に合った方法(筆談・カード・録音等)に代える
  • 「話せたか」ではなく「参加できたか」で見る
  • 担任・スクールカウンセラー・保護者で情報を共有し、対応をそろえる
  • 安心できる友だちや居場所を確保する

早見表:家庭と学校でできること

本記事の「家庭でできること」「学校でできる配慮・連携」を整理した早見表です。
場面 本人に合わせてできる工夫
家庭 「話せない」を責めず不安に寄り添う/学校の様子を問い詰めず、安心して帰れる家を大切に/好きなこと・得意なことで自信を育てる/少人数で安心して遊べる場を広げる
学校 発表・音読・点呼などを本人に合った方法(筆談・カード・録音等)に代える/「話せたか」ではなく「参加できたか」で見る/担任・スクールカウンセラー・保護者で情報を共有し対応をそろえる/安心できる友だちや居場所を確保する
共通の姿勢 「話さなくても大丈夫」という安心づくりを最優先に/スモールステップで本人のペースを尊重/時間がたつほど固定しやすいため、早めの理解と連携を大切に

関わり方の見直し早見表

本記事「対応の基本」で挙げた、逆効果になりやすい関わりと望ましい関わりの対比です。
逆効果になりやすい関わり 望ましい関わり
「頑張って話してごらん」と促す 話すことを求めず、うなずきや筆談など話す以外の参加を認める
みんなの前で発言させる その場にいる→ジェスチャー→小声→特定の人と…と段階を一つずつ進める
話せたら大げさにほめる できたことを大げさにせず、さりげなく受けとめる

相談先

「学校で話せない状態が続く」と感じたら、まず担任・スクールカウンセラーや、お住まいの市区町村の教育相談・子育て・保健の窓口へ。専門的な相談・支援は、児童精神科・小児科、臨床心理士・公認心理師、言語聴覚士、発達障害者支援センターなどで受けられます。不安が強い場合は医療機関での相談も選択肢になります。

お住まいの地域の相談先を探す

相談窓口の名称や体制は都道府県・市区町村で異なります。にじいろでは地域別に「診断・相談できる場所」をまとめています。東京都版神奈川県版大阪府版など、お住まいの地域の記事をご覧ください。

診断は「レッテル」ではなく「地図」——にじいろから

診断名がつくことに、抵抗や不安を感じる保護者は少なくありません。その気持ちはとても自然なものです。けれど診断は、お子さんを枠に閉じ込めるレッテルではなく、その子の世界を理解し、合う環境を選ぶための「地図」です。つまずきが減れば、本人が本来もっている力——好きなことへの集中力や独自の発想——が伸びていきます。にじいろは「数値で測られる学びから、経験で語れる学びへ」を掲げ、その子だけの強みを大切に育てる保護者を後押しします。一人で抱え込まず、まず相談することから始めてみてください。

タツロー校長のYouTube解説

自宅のリビングでタブレットとノートを使って、自分のペースで学習している子どものイラスト

現役校長・タツロー校長が、場面緘黙について動画で解説しています。文章とあわせてご覧ください。

▶ 【場面緘黙】学び方や将来のキャリアは?学校で話せない理由

不登校・発達特性のある子が全国から通っています

学校以外にも、その子に合う学びの場があります

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小学生・中学生

NIJINアカデミー

「ALL HAPPY」を掲げる小中一貫のオルタナティブスクール。累計1,000名以上が入学し、在籍校と連携した97%の出席認定率を公表しています。

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高校生

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入会前の相談・見学だけでも大丈夫です。
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学費とプラン
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家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先 聞けること 費用 向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー) 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 無料 まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村) 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い 原則無料 学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間) 体験活動中心の居場所、少人数の学び 月1〜5万円程度 興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 スクールにより異なる 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科) 体の不調の背景、診断と治療 保険診療 睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル 子ども本人・保護者どちらの相談も 無料・24時間 いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。


学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 診断がついていなくても、支援は受けられますか?

A. 受けられます。通級指導や校内の配慮は、診断名がなくても本人の困りごとを根拠に相談できます。就学相談や教育支援センターも同様です。診断は「支援を受けるための条件」ではなく、支援の設計を助ける情報のひとつだと考えてください。

Q. 支援級に移すべきか迷っています

A. 「どちらが正解か」ではなく、いまの学級でその子が消耗しているかどうかで考えるのが現実的です。学びの内容だけでなく、人数・音・切り替えの多さといった環境要因を見てください。判断の考え方は支援級に入れるべきかにまとめています。

Q. 特性があると、進路は狭くなりますか?

A. 狭くはなりません。不登校を公表した著名人のように、学校の枠に合わなかった人が別の道で力を発揮する例は多くあります。大事なのは「合う環境を選べるかどうか」で、選択肢は年々増えています。

Q. 学校に特性を伝えると、レッテルを貼られませんか?

A. 伝え方次第です。「◯◯障害です」と診断名だけを伝えるより、「音が大きいと固まってしまうので、席を後ろにしてほしい」と具体的な場面と対処で伝えるほうが、担任も動きやすくなります。

Q. 家庭でできる工夫はありますか?

A. 一度に多くを変えないことです。予定を紙に書いて見える場所に貼る、次の行動を1つだけ先に伝える——この2つだけでも負担が変わる子は多いです。うまくいかない日があっても、やり方が悪いわけではありません。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

場面緘黙は、そのうち自然に治りますか?
自然に和らぐこともありますが、対応がないまま時間がたつと状態が固定しやすいと言われています。早めに「話さなくても安心できる環境」を整え、スモールステップで支援することが大切です。
無理に話させても大丈夫ですか?
おすすめしません。強く促すと不安が高まり、かえって話しにくくなることがあります。まずは話す以外の参加を認め、本人のペースを尊重してください。
発達障害と関係がありますか?
場面緘黙は不安症の一つですが、ASDなどの特性と重なって見られることもあります。気になる場合は専門機関で、背景をていねいに確認してもらうとよいでしょう。
どこに相談すればいいですか?
担任やスクールカウンセラー、市区町村の教育相談・保健の窓口が入口です。専門的には児童精神科・臨床心理・言語聴覚などの機関、発達障害者支援センターでも相談できます。

家では話せるのに学校で話せないのは「甘え」や「わがまま」ですか?
いいえ。わがままや反抗、性格の問題ではなく、強い不安が背景にある状態です。本人は「話さない」のではなく「話したくても話せなくて困っている」状態だと受けとめることが出発点になります。
サインに気づいたら、まず何から始めればよいですか?
「話させよう」とするより、「話さなくても大丈夫」という安心をつくることが最優先です。うなずきや筆談など話す以外の参加を認めながら、担任・スクールカウンセラーや市区町村の相談窓口に早めに相談してみてください。
学校にはどんな配慮をお願いできますか?
発表・音読・点呼などを筆談・カード・録音といった本人に合った方法に代える、「話せたか」ではなく「参加できたか」で見てもらう、担任・スクールカウンセラー・保護者で対応をそろえる、安心できる居場所を確保する、といった配慮が考えられます。

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※本記事は保護者が情報を整理するための一般的な解説であり、診断・治療に代わるものではありません。お子さんの状態については必ず医療機関や専門の相談窓口にご相談ください。制度・窓口・費用などは変更される場合があります。ご利用の際は各機関の最新の公式情報をご確認ください。

最終更新:2026年7月23日


つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)

24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310

お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。

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