不登校の親は「優しすぎる」のか?タツロー校長が教える、自分たちの子育てに自信を持っていい理由

「不登校の親は優しすぎる」「子どもを甘やかしているからだ」
不登校の子どもを持つ保護者の方なら、周囲からこんな言葉を投げかけられたり、自分自身で「私の育て方が甘かったのかな…」と責めてしまったりした経験があるのではないでしょうか。

本記事では、この「不登校の親は優しすぎる問題」について、NIJINアカデミー校長、星野達郎(タツロー校長)が、産業構造や教育理論の視点から「それは全くの誤解である」と明確に解説します。

子どもとの対話
目次

不登校の親は「優しすぎる」わけではない

タツロー校長

「不登校の親は優しすぎるんじゃないか、という声。全然そんなことありませんよ。むしろ、これからの時代に合った子育てをしています。」

不登校の子どもに対して「学校に行かなくていいよ」と受け入れる姿勢は、決して“甘やかし”ではありません。
その背景には、親自身が時代の変化に適応し、子どもとの「対話」を重視するようになっているという大きな理由があります。

子どもとの対話

産業構造の変化:親の「対話力」が上がっている

昔の昭和の時代は、農業(第1次産業)や工業・工場(第2次産業)で働く人が主流でした。
しかし現代は、サービス業やITなどの「第3次産業」が中心の社会です。

タツロー校長

「今の時代、あらゆる仕事のベースが『コミュニケーション』になっています。だから、親もコミュニケーションがものすごく上手くなっているんです。」

昔のような「親の言うことを聞け!」とちゃぶ台をひっくり返すような子育てではなく、子どもの意見に耳を傾け、対話によって引き出すことが、親の当たり前のスキルになっています。

一方で、学校のシステムはどうでしょうか?

学校

学校は未だに、工業化時代にフィットした「先生の言うことを黙って聞く」「みんなと同じことをする」というモデルから抜け出せていません。
対話を重んじる家庭で育った子どもが、古いシステムに合わなくなるのは当然のことなのです。

「自己実現」を大切にする成熟社会へ

さらに、社会の成熟度も大きく変わりました。
戦後などの「生きることに必死な時代」を経て、今の日本は基本的には安全で、生理的な欲求は満たされています。

タツロー校長

「生き残ることに必死だった時代から、『自分がどう生きるか』という自己実現が問われる時代に変わりました。

だからこそ、今の親は「子ども自身がどう生きたいのか」「どうありたいのか」という子どもの人権や主権を非常に大切にしています。

「偉い人の言うことを聞け」という古い価値観を押し付けるのではなく、子どもの自己実現をサポートする。それは甘さではなく、時代に合わせたアップデートです。

「自己実現」を大切にする成熟社会へ

学校の「外的報酬」と、家庭の「内的報酬」のズレ

教育学におけるモチベーションの理論(自己決定理論)で見ても、このズレは明白です。
人が動く動機には、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 外的報酬:「怒られるからやる」「成績やご褒美のためにやる」
  • 内的報酬:「楽しいからやる」「自分にとって価値があるからやる」
タツロー校長

「学校のルールや評価は、罰や成績といった『外的報酬』で作られています。でも、不登校の親が目指しているのは『内的報酬』なんです。」

不登校の保護者は、子どもに「自分で決めて、自分でやりたいことを深めていく(内的報酬)」ことを大切にしています。
学校の「怒られるからやる(外的報酬)」という仕組みと合わないのは、ある意味で子育てが上手くいき、子どもの主体性が育っている証拠でもあります。

学校の「外的報酬」と、家庭の「内的報酬」のズレ

これからの時代、間違いなく「内的報酬」が強い

今の世の中の大人たちの多くは、学校的な「外的報酬」の訓練を受けて生きてきました。
だからこそ、彼らの目には、内的報酬を大切にする不登校の親の姿勢が「甘い」と映ってしまうことがあります。

タツロー校長

「周りから見たら甘いと言われるかもしれません。でも、自信を持ってください。これからの時代は間違いなく『内的報酬』で動く人が強いです。」

コミュニケーションと自己実現がベースとなるこれからの社会では、誰かにやらされるのではなく、自分の価値観で動ける力が必須になります。

不登校の親の考え方が社会の主流にならなければ、日本は終わる。
それくらい、皆さんの向き合い方はこれからの未来にとって重要で、価値のあるものなのです。ぜひ、自分たちの子育てに自信を持ってください。

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▶ 動画でより深く:YouTube(フル解説)

星野達郎校長が今回のテーマを動画でさらに熱く解説しています。
教育論や時代の変化について、より深く知りたい方はぜひフルバージョンの動画をご視聴ください。


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この記事の内容を確かめるための一次資料

学校とのやりとりは、担任個人の考え方に左右されやすい部分です。だからこそ国が学校に何を求めているかを知っておくと、話が噛み合いやすくなります。「認めてください」ではなく「要件を満たすには何を用意すればよいですか」と聞くのが、実務上いちばん通ります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
文部科学省「生徒指導提要」学校の生徒指導の基本方針(改訂版)
文部科学省「スクールカウンセラー等活用事業」SC・SSWの役割と配置の考え方
文部科学省「就学援助」学用品費・給食費などの経済的支援
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 担任と話が噛み合いません

A. 「認めてください」ではなく「要件を満たすために何を用意すればよいですか」と聞き方を変えると通りやすくなります。それでも動かない場合は、学年主任・管理職・市区町村の教育委員会(教育相談室)へ相談先を上げてください。

Q. 毎日の欠席連絡がつらいです

A. 連絡方法は相談できます。「しばらく休むので、こちらから連絡がない日は欠席とみなしてください」と最初に合意しておくと、毎朝の負担がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

Q. 保健室登校や別室登校は出席になりますか?

A. なります。校内で過ごした時間は在籍校の判断で出席として扱われるのが一般的です。保健室登校についてもあわせてご覧ください。

Q. 学習の遅れが心配です

A. 学校外での学習も、計画や内容が教育課程に照らし適切と判断されれば成績評価に反映できることが2024年8月の制度改正で明確になりました。詳しくは教育機会確保法の記事にまとめています。

Q. 面談で何を話せばいいですか?

A. ①いまの状態、②してほしい配慮を具体的に、③出席扱いの取り扱い、の3点に絞ると進みます。面談後に「本日確認したこと」をメールで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

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