「藁にもすがる思いで子どもを入れたのに、結局ゲームばかりしていて、学校時代とあまり変わらなかった」
「フリースクールを探そうにも、家電のようにレビューもなく、何を基準に選べばいいのか分からない」
我が子の不登校は、多くの保護者にとって晴天の霹靂です。だからこそ、いざフリースクールを探そうとしても、比較の物差しを持てないまま、藁にもすがる思いで選んでしまうケースが後を絶ちません。
本記事では、この多くの保護者が抱える悩みに対して、オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の星野達郎(タツロー校長)が、全国のフリースクールとのコラボレーションで集まる情報をもとに徹底解説します。
結論:フリースクールの「ジェネリック版」に注意

結論から言うと、フリースクール選びで一番気をつけてほしいのは「ジェネリック版」だというのがタツロー校長の見解です。
「学校に合わない子が通う、新しい学び場」という説明だけを聞くと、良いものに聞こえます。
しかし実際には、学校のスタイルをそのまま縮小コピーしただけの、才能を輝かせられない「ジェネリック版」のフリースクールが数多く存在するのです。
そもそもフリースクールに定義はない
実は「フリースクール」には、法律上の明確な定義がありません。
文部科学省が学校教育法第一条で定める、小学校・中学校・高校・特別支援学校――いわゆる「一条校」。
タツロー校長は、それ以外の教育機関をすべて「フリースクール」と呼んでいます。
タツロー校長文科省が管轄していない教育機関を、私はすべてフリースクールと呼んでいます。だから千差万別、まさに魑魅魍魎(ちみもうりょう)。特定の『これ』というものが示せないのが、フリースクールなんです。
タツロー校長自身、日本最大級のオルタナティブスクールを運営しながらも、「フリースクール」という言葉そのものには、あまり良いイメージを持ってこなかったと言います。
免許も監査機関もいらないため、専門性のない人でも開所できてしまう構造があるからです。
一方で、フリースクールが必要とされる理由は明確です。
学力や個性の分布を正規分布で表すなら、学校は「中央値」の子どもに最適化された仕組み。
その両端にいる、平均的ではない才能や個性を持つ子どもたちが輝く場所として、フリースクールには大きな存在意義があります。
全国のフリースクール、基本データ
タツロー校長のもとには全国の保護者やフリースクール事業者から日々情報が集まってきます。その立場から見えている、全国のフリースクールの基本データは以下の通りです。
- 全国に約800校(3年前は約500校)
- 通所型が9割
- 学費は月平均3.3万円(文部科学省調べ)
- 高額なところでは月10万〜20万円のケースも
金額が高いからといって内容が伴っているとは限らず、「10万〜20万円も払っているのに、やっていることはただの学級経営で、教育とは呼べない」というケースも少なくないとタツロー校長は指摘します。
選び方のポイント①:型・タイプを見る
フリースクールは大きく次の4タイプに分かれます。
- 居場所型:最も数が多いタイプ
- 学習支援型:大手企業が参入しやすいタイプ
- オンライン型
- オルタナティブ型
もっとも多いのは「居場所型」です。理由はシンプルで、免許も監査機関もいらず、誰でも開設できてしまうから。
不登校が社会的に増えれば市場が生まれ、市場が生まれればビジネスとして参入する人が増えます。



教育経験はないけど、我が子が不登校だったからという理由だけで開所できてしまう。それっぽい人が、それっぽく始められてしまうのです。
「ありのままでいい」という言葉は保護者への訴求力が高い一方、タツロー校長は「子ども自身が『このままでいい』と本気で思っていることは、ほとんどない」と断言します。ヴィゴツキー的な関わりや自己決定理論など、様々な教育理論・実践に基づいた専門性がなければ、子どもは輝きません。
次に多いのが「学習支援型」で、大手教育企業が参入しやすい領域です。ただし、学校に合わなかった子に、学校と同じような学習スタイルを持ち込むのは危険だとタツロー校長は警鐘を鳴らします。



学校に合わなかったのに、学校の下位互換をやらせているケースがある。それは才能を潰しているのと同じです。ピアノが合わなかった子に、まず木琴からやらせるようなもの。本当は球技の才能があるかもしれないのに。
「オルタナティブ型」は、文科省が定める画一的なカリキュラム――同年齢・同地域の集団に、同じ内容を同じ方法で教える仕組み――とは根本的に異なる教育モデルを指します。異年齢・異なる背景を持つ少人数の子どもたちに対し、一人ひとりの主体性を尊重するカリキュラムを組んでいるかどうかが、判断基準になります。
選び方のポイント②:創業者・ルーツを見る
創業のルーツを見れば、その教育機関の性質がかなり見えてくるとタツロー校長は言います。
- 塾・教材屋がルーツ:大手企業に多いパターン
- 個人事業主:居場所型に多い
- 元学校教員:学習支援型に多い
- 起業家:義務教育分野への参入は極めて少ない



起業家が義務教育を担うことは、これまでほとんどありませんでした。資本主義の世界で生きてきたからこそ、収益性の低い教育業界には参入しにくいんです。
創業者がどんな背景を持ち、何を大切にしてきた人物なのかを知ることは、選び方の重要な手がかりになります。
選び方のポイント③:子どもの姿を見る


教育の質は、必ず子どもの姿に現れるとタツロー校長は強調します。ホームページやSNSで公開されている子どもたちの表情を見れば、その教育機関の実力はある程度分かるというのです。



『コンプライアンス上、子どもの顔は出しません』という説明をする経営者もいますが、教育力が本当に高くて、子どもたちが心から楽しんでいれば、その姿は自然と表に出てくるものです。子どもの姿は、絶対に嘘をつきません。
選び方のポイント④:進路・キャリアの捉え方を見る
「進路・キャリア」と聞くと、受験や合格実績を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、これからの時代においてその指標の重要性は下がっているとタツロー校長は指摘します。AIの登場により、知識量や偏差値だけで測れる価値の優位性は薄れつつあるからです。



いい大学や高校に行きたいだけなら、普通の学校に行けばいい。中学まで不登校でも、高校で通信制と予備校を組み合わせれば、東大でも京大でも早慶でも、いくらでも入れます。餅は餅屋。受験対策は、大手予備校に任せればいいんです。
タツロー校長が本当に大事だと考えているのは、そこで働く教師たちがどんな姿を見せているかです。教師自身が社会の中でどう評価され、どう活躍しているか。子どもは日々関わる大人の姿を映す鏡のような存在であり、教師が本気で挑戦し続けているかどうかが、子どもの将来に直結すると言います。
まとめ:教師の姿こそが、お子さんの将来そのもの


フリースクール選びで見るべきポイントは、次の4つです。
- 型・タイプ――居場所型・学習支援型・オンライン型・オルタナティブ型、それぞれの特性と限界を理解する
- 創業者・ルーツ――誰が、どんな背景で作った教育機関なのかを知る
- 子どもの姿――ホームページやSNSに映る子どもの表情を確認する
- 進路・キャリア――受験実績よりも、教師自身の生き方・活躍を見る
フリースクールに明確な基準や定義がない今だからこそ、保護者自身がこうした視点を持って比較することが、後悔しない選択につながります。



子どもの姿は裏切りません。教師の姿が、あなたのお子さんの将来そのものなんです。人生は、誰といるかが大事なんですよ。
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▶ 動画でより深く:YouTube(フル解説)
星野達郎校長が今回のテーマを動画でより熱く、詳細に解説しています。「フリースクールの選び方4選」など、記事では紹介しきれない現場のリアルな情報はぜひ動画でご視聴ください!




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この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。









