集団行動が苦手な子。それはわがままではありません

集団行動が苦手な子
8.8% ― 通常学級で「発達の特性がある可能性」

文部科学省の調査で、通常学級に在籍する小・中学生のうち、学習や行動に困難があり発達障害の可能性があるとされた子の割合です。およそ11人に1人、35人学級なら約3人。集団が苦手な子は、決して特別でも珍しくもありません。さらに、生まれつき刺激に敏感な「繊細な気質(HSC)」の子も、一定の割合でいると言われています。

出典:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」(令和4年)

こんな様子はありませんか?

  • 大人数の場所や、にぎやかな教室がしんどそう
  • 「みんなで一緒に」が苦手で、一人の遊びを好む
  • 行事や集団活動のあとに、どっと疲れて不機嫌になる
  • 一対一や少人数だと、生き生きと話せる
  • 順番やルールが急に変わると、強く戸惑う

1. 「苦手」の背景にあるもの

集団行動が苦手なのは、なまけでも、育て方のせいでもありません。背景はひとつではなく、いくつかの要素が重なっていることが多いです。まずは「うちの子はどのタイプに近いかな」と眺めてみてください。

① 生まれ持った繊細な気質(HSCなど)

まわりの音・光・人の気持ちに人一倍敏感で、集団の刺激に疲れやすいタイプ。感じる力が強いのは、裏を返せば豊かさでもあります。

② 感覚の敏感さ

ざわざわした音、大勢の視線などが、本人にとっては想像以上の負担になっていることがあります。

③ 発達の特性が関わっている場合

興味や集中の個性、見通しが立たない状況の苦手さなど(ASD・ADHDの傾向が関わることも)。優劣ではなく、その子の「特性」です。

④ 見通しの必要さ

「次に何が起きるか分からない」状況が苦手で、予定変更や自由時間でつまずくタイプ。先が分かると安心して動けます。

この表は本文「1.『苦手』の背景にあるもの」を要約したものです。どれか一つに当てはめるためではなく、重なりを眺めるための早見表です。
背景のタイプ 本文での説明のまとめ
① 生まれ持った繊細な気質(HSCなど)音・光・人の気持ちに人一倍敏感で、集団の刺激に疲れやすい。感じる力の強さは、豊かさの裏返しでもあります。
② 感覚の敏感さざわざわした音や大勢の視線などが、本人にとっては想像以上の負担になっていることがあります。
③ 発達の特性が関わっている場合興味や集中の個性、見通しが立たない状況の苦手さなど。優劣ではなく、その子の「特性」です。
④ 見通しの必要さ「次に何が起きるか分からない」状況が苦手。予定変更や自由時間でつまずきやすく、先が分かると安心して動けます。

2. 家でできる関わり方(4つ)

  1. 「みんなと同じ」を無理強いしないできないことを責めるより、その子のペースを認めるほうが、安心して力を出せます。
  2. 何がしんどいのか一緒に整理する音?人の多さ?先が読めないこと?——苦手の「中身」が分かると、対策が立てやすくなります。
  3. 見通しと逃げ場を用意する「これをしたら休憩できる」と先に分かると集団の場も少し楽に。しんどくなったら離れられる場所を決めておくのも有効です。
  4. 得意な少人数の場を増やす一対一や小さなグループなど、その子が力を発揮できる場を意識して用意してあげましょう。

3. そのまま使える声かけ例(NG・OK)

NG「なんでみんなと一緒にできないの」
OK「大人数は疲れるよね。少し休んでいいよ」
NG「そんなの慣れれば平気になるよ」
OK「何がいちばんしんどいか、教えてくれる?」
NG「一人でいないで、輪に入りなさい」
OK「一人が落ち着くなら、それも大事な時間だね」
NG「みんなできてるのに、あなただけ」
OK「あなたには、あなたの得意なやり方があるね」

4. 場面別のサポート

運動会・発表会などの行事

当日いきなりではなく、流れを前もって伝えておくと安心します。全部参加が難しければ、一部だけ・見学からでもOK。がんばりのハードルを下げてあげましょう。

グループ活動・話し合い

大人数より、2〜3人の小グループのほうが力を出せます。役割をはっきりさせると、何をすればいいか分かって動きやすくなります。

休み時間・自由時間

「自由」がいちばん苦手な子もいます。図書室で過ごす、係の仕事をするなど、居場所と役割を用意しておくと楽になります。

給食・集団での移動

ざわつきや待ち時間が負担になることも。先生と相談して、席や順番を配慮してもらえると、負担が減ります。

この表は本文「4. 場面別のサポート」を要約したものです。無理に全部を目指さず、できるところから配慮を選ぶための早見表です。
場面 配慮のヒント(本文の要約)
運動会・発表会などの行事流れを前もって伝えておくと安心。全部の参加が難しければ、一部だけ・見学からでもOK。がんばりのハードルを下げる。
グループ活動・話し合い大人数より2〜3人の小グループのほうが力を出せる。役割をはっきりさせると、何をすればいいか分かって動きやすい。
休み時間・自由時間「自由」がいちばん苦手な子もいる。図書室で過ごす・係の仕事をするなど、居場所と役割を用意しておくと楽になる。
給食・集団での移動ざわつきや待ち時間が負担になることも。先生と相談し、席や順番を配慮してもらうと負担が減る。

5. 集団が苦手でも、大丈夫

社会には、大人数の中でなくても力を発揮できる場所や仕事がたくさんあります。一人で深く集中したり、少人数でていねいに関わったりするほうが向いている人も、たくさんいます。「集団に慣れさせなければ」と焦るより、その子に合った環境を選んでいくという視点を持つと、親も子も楽になります。少人数やオンラインの学びの場も、その選択肢の一つです。

目次

この記事の内容を確かめるための一次資料

オンラインの教室の様子。顔を出す子と、アイコンで参加する子が混ざっている
オンラインの教室の様子。顔を出す子と、アイコンで参加する子が混ざっている
誰もいない教室。学校に行けない日が続いても、地域には公的な受け皿がある
誰もいない教室。学校に行けない日が続いても、地域には公的な受け皿がある

不登校をめぐる情報は、体験談と一般論が混ざりやすい分野です。いま国が何を方針としているかを押さえておくと、学校や自治体とのやりとりで迷いにくくなります。とくに出席扱いの要件は、知っているかどうかで選べる道が変わります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」全国84校。旧・不登校特例校の全リスト
文部科学省「生徒指導提要」学校の生徒指導の基本方針(改訂版)
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 学校を休ませてもいいのでしょうか?

A. 教育機会確保法の第13条は「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」と条文で明記しています。休むことは制度の外側にある逸脱ではなく、法律が想定している状態です。

Q. どこに相談すればいいですか?

A. まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)です。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

Q. 学校以外に、どんな場所がありますか?

A. 教育支援センター(適応指導教室)は原則無料の公的な居場所、学びの多様化学校は特別の教育課程を組める正式な学校、ほかにフリースクールオンラインがあります。

Q. 出席扱いにできますか?

A. 要件を満たせば校長の判断で可能です。通所する場合は別記1、自宅でICT等を活用して学ぶ場合は別記2の要件があります。令和6年度は学校外の機関等で42,978人、自宅ICT学習で13,261人が出席扱いになっています。

Q. この先どうなるのか不安です

A. 不登校の経験がその後を決めるわけではありません。不登校を公表した著名人12人のように、別の道で力を発揮している人は多くいます。いまは先を決めるより、目の前の回復を優先してよい時期です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

無理にでも集団に慣れさせたほうがいい?
「慣れ」より「安心」が先です。強い負担が続くと、かえって集団そのものが怖くなってしまうことも。その子が安心できる範囲を少しずつ広げるほうが、結果的に力が育ちます。
発達障害かもしれません。どこに相談すれば?
まずは学校のスクールカウンセラーや担任、地域の教育相談・発達支援センター、かかりつけ医などが窓口になります。特性を正しく知ることは、責めるためではなく、合った関わりや環境を選ぶためのものです。
「少人数なら大丈夫」は、甘えでは?
甘えではありません。人には得意な環境と苦手な環境があり、それは大人も同じです。力を発揮できる環境を選ぶことは、逃げではなく、賢い工夫です。
きょうだいは平気なのに、この子だけ苦手です
同じ家庭で育っても、気質や感じ方は一人ひとり違います。比べるより、その子の「取扱説明書」を一緒に作っていく気持ちで見てあげてください。
集団が苦手なままで、将来が心配です
在宅ワークや専門職など、大人数を必要としない働き方は年々増えています。大切なのは「集団に合わせる力」より「自分に合う場所を選ぶ力」。その土台は、今の安心から育ちます。
家では、何から始めればいいですか?
本文の「家でできる関わり方」にある通り、まずは「みんなと同じ」を無理強いせず、何がしんどいのか(音・人の多さ・先が読めないことなど)を一緒に整理するところからで大丈夫です。見通しと逃げ場を用意し、得意な少人数の場を少しずつ増やしていくと、その子のペースで力を出しやすくなります。
HSCと発達の特性は、どう違うのですか?
HSCは医学的な診断名ではなく、生まれ持った繊細な気質を表す概念です。発達の特性とは別のものですが、どちらも「その子の感じ方」であって、責めたり優劣をつけたりするものではありません。気になるときは、専門機関で正しく知ることが、合った関わりや環境選びにつながります。
学校の先生には、どう伝えればいいですか?
本文の「場面別のサポート」でも触れているように、行事の参加のしかたや席・順番などを、担任やスクールカウンセラーと相談して配慮をお願いするのがひとつの方法です。「何がいちばんしんどいのか」という苦手の中身を具体的に伝えると、学校側も対応を考えやすくなります。

こんなときは相談を

集団の場で本人が強く苦しんでいる、生活や登校に影響が出ている、といったときは、スクールカウンセラーや専門機関に相談してみてください。特性を正しく知ることが、合った関わりや環境選びにつながります。ここに書いたのは一般的な情報で、診断に代わるものではありません。

その子に合った、少人数の学び場を

大きな集団がしんどい子にとって、少人数で安心できる環境は大きな支えになります。NIJINアカデミーは、家から参加できるオンラインの学びの場です。その子のペースで、少しずつ人との関わりを広げていけます。無料の体験・相談会も行っています。

NIJINアカデミーのホームページを見てみる

▶ ふだんの様子は NIJINアカデミー公式YouTube でも見られます

【参考・出典】
・文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(令和4年)」mext.go.jp

※本記事は一般的な情報をまとめたもので、医学的・専門的な診断や助言に代わるものではありません。HSCは医学的な診断名ではなく、気質を表す概念です。

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