「遊んでばかり」の見え方が変わる。児童館で気づいた、子どもの本当の学び

保護者A

「学校には行けないのに、友達とは遊びに行けるんです。」

不登校の保護者の方とお話ししていると、
よく耳にする言葉です。

保護者A

「ゲームばかりしていて、本当に大丈夫でしょうか。」

保護者A

「勉強もしないで遊んでばかり。このまま将来困らないでしょうか。」

そんな不安を抱くのは、
ごく自然なことだと思います。

私も小学校教師だった頃は、
「学び」と聞くと、
授業や教科書を思い浮かべていました。

どう教えたら理解できるか。
どうすれば学力が伸びるか。

それが教育だと思っていたのです。

しかし、児童館で子どもたちと過ごすようになり、
その考えは大きく変わりました。

子どもたちは、教科書を開いていない時間こそ、
驚くほど多くのことを学んでいたからです。

目次

「遊んでいる」と思っていたら、
「研究」をしていた

ある日のことです。

小学一年生の男の子が、
事務室に置いてあった電子タイマーを見つけました。

本当は立ち入り禁止の場所なのですが、
興味を持ったその子は、
タイマーを触り始めます。

何秒かセットして、
「ピピピ」と鳴るのを楽しんでいました。

しばらくすると、その子が聞いてきました。

「なんで59秒までしかないの?」

私は、「60秒になると1分になるからだよ」
と答えました。

すると、その子は「本当かな?」と言わんばかりに、
59秒をセットして確かめ始めたのです。

それだけでは終わりませんでした。

別のタイマーを見つけると、

「こっちの59秒も同じかな?」

今度は二つのタイマーを59秒に設定し、
同時にスタート。

どちらも同じタイミングで鳴ることを確かめると、
さらに新しい疑問が生まれました。

「場所が違っても同じかな?」

今度は事務室中からタイマーを集め始めました。

高い場所。

低い場所。

部屋の真ん中。

壁際。

そして、
自分一人では同時にスタートできないと気づくと、

「先生はこれ押して!」

「こっちのタイマーお願い!」

と職員に役割を振り始めたのです。

「せーの!」

その掛け声で一斉にスタート。

結果は…

タイマーが増えすぎて、一斉に「ピピピ!」と鳴り、どのタイマーがいつ鳴ったのか
誰にも分からず終わりました。

実験は失敗です。

でも、その子は笑っていました。

私はその姿を見ながら、あることに気づいたのです。

子どもは、「学ぼう」と思って
遊んでいるわけではない

その子は、一度も「勉強しよう」
とは言いませんでした。

時計の勉強をしたかったわけでもありません。

ただ、「面白そう」と思った。

「なんで?」と思った。

「本当かな?」と確かめたくなった。

その気持ちが、次々と新しい疑問を生み、
試行錯誤につながっていったのです。

遊びとは、本来そういうものなのだと思います。

子どもは遊ぶために遊びます。

学ぶために遊ぶわけではありません。

でも、夢中になって遊んでいるうちに、
知らない間にたくさんの経験を積み重ねています。

問いを立てること。

試してみること。

失敗すること。

工夫すること。

人に協力をお願いすること。

「もう一回やってみよう」と思うこと。

こうした経験は、
教科書を読むだけでは身につきません。

教育学者ジョン・デューイは、
「教育とは人生の準備ではなく、
人生そのものである」と述べ、
経験を通して学ぶことの大切さを説きました。

また近年の研究でも、
遊びは子どもの自己調整や社会性、
主体性の発達を支える重要な経験であることが
示されています。

児童館で毎日子どもたちを見ていると、
その研究結果に深くうなずく場面ばかりです。

これからの時代だからこそ、
「経験」の価値は高まる

これから先、知識を得ることは
ますます簡単になります。

分からないことはインターネットで調べられます。

AIは文章を書き、答えを示し、
考えを整理することもできるようになりました。

でも、AIが代わりにできないものがあります。

それは、「経験」です。

失敗した悔しさ。

友達とぶつかった経験。

何度も挑戦した経験。

思い通りにいかず工夫した経験。

そして、「面白いから、もっとやってみたい」と
夢中になった経験。

これらは、その子自身にしか
積み重ねることができません。

だから私は、これからの時代ほど、
子どもが思い切り遊び、試し、失敗し、
挑戦できる時間が大切になると思っています。

「遊んでばかり」ではなく、
「経験している」

あの日、タイマーの実験は
最後まで答えが出ませんでした。

でも、
あの子は少しも残念そうではありませんでした。

「なんでだろう。」

「もう一回やってみよう。」

その表情は、とても楽しそうでした。

子どもの成長は、
正解にたどり着いた瞬間だけではありません。

「知りたい」と思い、

試してみて、

失敗して、

またやってみる。

その過程そのものが、
子どもを育てているのだと私は思います。

だから今日、
お子さんが夢中になって遊んでいる姿を見たら、

「また遊んでる」

ではなく、

「今日はどんな経験をしているんだろう。」

そんな目で見てみてください。

その見方が変わったとき、

子どもの世界も、
きっと少し違って見えてくるはずです。

遊びは、最高の教科書だ。

執筆監修者
大城 洋介(よーすけ)
東京学芸大学 教育学部 卒業
元・小学校教諭/現・児童館館長
NIJINアカデミー練馬石神井公園校 教室長
「遊びは最高の教科書」を信念に、子どもたちの主体性や自律心を育む実践を続けている。

あわせて読みたい

動画で見る|【不登校】夏休み明けに増えるのは「子どもが急に行きたくなくなる」からではありません。子どもが学校に行けなくなるまでの本当の理由

不登校・発達特性のある子が全国から通っています

学校以外にも、その子に合う学びの場があります

「ALL HAPPY」を掲げる小中一貫のオルタナティブスクール。不登校・発達特性のある子どもたちが全国から通っています。在籍校と連携した97%の出席認定率を公表しています。

小学生・中学生

NIJINアカデミー

「ALL HAPPY」を掲げる小中一貫のオルタナティブスクール。累計1,000名以上が入学し、在籍校と連携した97%の出席認定率を公表しています。

無料体験に申し込む ▶
高校生

ニジ高(NIJIN高等学院)

ユニークな個性を持つ高校生のための通信制・高校サポート校。自分のペースで高卒資格と進路をめざせます。

入学案内を見る ▶
📅 オンライン体験会の日程を見る(平日毎日開催) 💬 まずはLINEで気軽に相談する

入会前の相談・見学だけでも大丈夫です。 出席認定の実績学費とプラン全国のリアル校

この記事の内容を確かめるための一次資料

不登校をめぐる情報は、体験談と一般論が混ざりやすい分野です。いま国が何を方針としているかを押さえておくと、学校や自治体とのやりとりで迷いにくくなります。とくに出席扱いの要件は、知っているかどうかで選べる道が変わります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」全国84校。旧・不登校特例校の全リスト
文部科学省「生徒指導提要」学校の生徒指導の基本方針(改訂版)
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 学校を休ませてもいいのでしょうか?

A. 教育機会確保法の第13条は「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」と条文で明記しています。休むことは制度の外側にある逸脱ではなく、法律が想定している状態です。

Q. どこに相談すればいいですか?

A. まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)です。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

Q. 学校以外に、どんな場所がありますか?

A. 教育支援センター(適応指導教室)は原則無料の公的な居場所、学びの多様化学校は特別の教育課程を組める正式な学校、ほかにフリースクールオンラインがあります。

Q. 出席扱いにできますか?

A. 要件を満たせば校長の判断で可能です。通所する場合は別記1、自宅でICT等を活用して学ぶ場合は別記2の要件があります。令和6年度は学校外の機関等で42,978人、自宅ICT学習で13,261人が出席扱いになっています。

Q. この先どうなるのか不安です

A. 不登校の経験がその後を決めるわけではありません。不登校を公表した著名人12人のように、別の道で力を発揮している人は多くいます。いまは先を決めるより、目の前の回復を優先してよい時期です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

参考にした公的資料

本記事は公開資料と教育現場での実践をもとにした情報提供であり、診断・治療の代わりになるものではありません。(にじいろの編集方針・監修について

つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)

24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310

お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。

目次