「デジタル教科書やAIドリルが導入されました。しかし、逆に学力が下がるのではないか?」
GIGAスクール構想により、子どもたちがタブレットを持つようになりました。その結果、こんな不安を感じる保護者の方も多いですよね。
そこで本記事では、「デジタル教育は学力を下げるのか?」という疑問に答えます。オルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の星野達郎(タツロー校長)が解説します。タブレット学習の是非と、これからの教育についてお話しします。
全国900名以上の小中高生が学ぶオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の校長を務める傍ら、2つの教師団体を主宰。これまで累計1,200名以上の教員向けに研修を実施し、学校の中と外、両面から教育課題の解決に取り組む。
その独自の教育実践はNHKやテレビ朝日など多くのメディアで特集され、「青年版国民栄誉賞」や「内閣総理大臣奨励賞」を受賞するなど、各方面から高く評価されている。
確かな実績と熱い教育信念を持つ一方で、普段は生徒たちから気さくにいじられる「愛されキャラ」の校長として、日々子どもたちと本音で向き合っている。
デジタル教科書・AIドリルで「学力」は下がる?
近年、デジタル先進国が「紙に戻した」というニュースが話題になりました。さらに、国内でも「漢字が書けない」といった声が上がっています。それでは、本当に学力は下がっているのでしょうか。
結論から言うと、一部下がる側面はあるかもしれません。しかし、タツロー校長は「『学力』の解像度を上げなければ、本当の価値はわからない」と指摘します。
時代遅れな「タブレット学習」の是非を問う

現在、公立学校で行われているタブレット学習の多くに、タツロー校長は強く反対しています。なぜなら、「紙でやっていたことを、デジタルに置き換えているだけ」だからです。
タツロー校長「たとえば、先生が黒板に書いたことをデジタル教科書に写す。あるいは、紙の漢字ドリルをAIドリルに変える。しかし、これらは全く意味がありません。つまり、鉄砲が発明されたのに、石器時代と同じように戦っているようなものです。」
つまり、技術が進歩しているのに、学び方が「旧石器時代」のままなのです。したがって、時代遅れなタブレット学習の是非が問われています。これは、子どもたちにとって非常に不幸なことです。
デジタル教育の本当の強み(メリット)とは?


それでは、本当のデジタル教育の強みとは何でしょうか。タツロー校長は、以下の2点を大きく挙げています。
- デジタル空間でのモノづくりができること
- 世界中と繋がる拡張性があること
たとえば、NIJINアカデミーに通う小学4年生の子がいます。その子は、環境問題に取り組む3Dゲームをプログラミングしています。これこそ、デジタルでしかできない「モノづくり」です。
また、日本全国から生徒が集まり、オンラインで繋がりながらプロジェクトを進めています。社会の授業でブラジルを学ぶなら、オンラインでブラジル人と繋がります。そして、直接インタビューをします。これが「世界と繋がる拡張性」です。
まとめ:ペーパーテストの効率化から抜け出す
残念ながら、国の教育の中核を担う人たちの多くは、この「新しい価値」を理解しきれていません。なぜなら、彼らは「テストの点数を効率良く上げるため」にデジタル教科書を導入しようとしているからです。
しかし、これからの時代は全く違います。AIを駆使し、世界中の人と一緒に新しい価値を生み出す力が求められます。



「だからこそ、デジタルを使って人を幸せにする価値体験を積ませていく。したがって、そんな教育環境を選べる世の中にしていくことが大切です。」
保護者は、これまでの古い教育観を一度捨てましょう。また、文部科学省のGIGAスクール構想(※外部リンク)の表面だけを鵜呑みにしないでください。そして、我が子に本当に必要な学びの形を考えていく必要があります。
紙とデジタル、それぞれの特徴を整理する
「紙かデジタルか」という二者択一で語られがちですが、どちらにも得意なことと苦手なことがあります。まずは学習者用デジタル教科書と紙の教科書の一般的な特徴を並べて確認してみましょう。研究はまだ途上で、効果は使い方や子どもの状況によって変わると考えられています。
| 観点 | 紙の教科書 | デジタル教科書(学習者用) |
|---|---|---|
| 書き込み・記憶の手がかり | ページの位置や手書きの跡が記憶の手がかりになりやすいと言われる | マーカーやメモを何度でも消して試せる。書き心地は端末や環境に左右される |
| 検索・拡大表示 | 目次や索引をたどる。文字サイズは固定 | 語句の検索や拡大表示がしやすい |
| 読み上げ・音声/動画 | 紙単体では対応しない | 音声読み上げや関連コンテンツと組み合わせやすく、読みに困難がある子の支援になり得る |
| 持ち運び | 冊数が増えると重くなる | 端末1台に集約できる。充電や故障への備えは必要 |
| 健康面の配慮 | 画面によるものは比較的少ない | 目の疲れや姿勢に配慮し、休憩や視距離などのルールが推奨される |
どちらか一方が絶対に優れているわけではなく、目的に応じて使い分ける発想が現実的だと考えられます。
AIドリルの活用 ― メリットと留意点
AIドリルは、正誤や解答時間に応じて出題を調整し、一人ひとりに合った反復練習を進めやすくする仕組みです。「個別最適な学び」の一手段として期待される一方、万能ではありません。次の表に、一般に指摘されるメリットと留意点を整理します。
| メリットとして挙げられること | 留意しておきたいこと |
|---|---|
| 習熟度に合わせて難易度が調整され、つまずきに気づきやすい | 得意なのは反復・定着。思考力や表現力、協働はドリルだけでは育ちにくい |
| 丸つけや記録が自動化され、子ども・保護者・先生が状況を把握しやすい | 出題は仕組みに沿うため、なぜ間違えたかの理解には大人の関わりが要ることがある |
| 自分のペースで進められ、在宅でも取り組みやすい | 正解を早く出すことが目的化しやすい。学習ログの扱いなど個人情報への配慮も必要 |
不登校・在宅学習での活用という視点
学校に通いづらい時期や在宅での学習では、デジタルならではの利点が生きる場面があります。たとえば音声読み上げや文字の拡大は、読み書きに困難のある子や、体調・気分に波がある子が「自分のペースで少しずつ」進める助けになり得ます。AIドリルも、決まった時間に登校しなくても取り組める点で、生活リズムづくりの一歩に使えることがあります。
国の議論でも、一人ひとりの状況に応じた「個別最適な学び」と、人とかかわる「協働的な学び」を一体で充実させることが目指されています(中央教育審議会答申)。デジタルは前者を支えやすい一方、後者――誰かと一緒に考え、つくる経験――は意図して設計する必要があります。ツールを入れること自体が目的化しないよう、「何のために使うか」を家庭でも確認しておきたいところです。
使うときに気をつけたいこと(依存・視力・個別最適化の実際)
便利さの裏で気になるのが、画面時間や依存、視力への影響です。文部科学省の資料でも、目と端末の距離や休憩、姿勢など健康面への配慮が示されています。長時間の連続使用を避け、紙に書く・体を動かす・人と話す時間とのバランスをとることが現実的です。
また「個別最適化」という言葉は魅力的ですが、AIが子どもの内面まで理解してくれるわけではありません。あくまで反復や難易度調整が得意な道具であり、何を学び取ったかの意味づけや、興味の広がりを支えるのは人の役割です。効果については研究段階の部分も多く、「入れれば学力が上がる/下がる」と一律に決めつけず、我が子の様子を見ながら調整する姿勢が大切だと考えられます。
この記事の内容を確かめるための一次資料
不登校をめぐる情報は、体験談と一般論が混ざりやすい分野です。いま国が何を方針としているかを押さえておくと、学校や自治体とのやりとりで迷いにくくなります。とくに出席扱いの要件は、知っているかどうかで選べる道が変わります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「生徒指導提要」 | 学校の生徒指導の基本方針(改訂版) |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
家庭でいまできること
制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。
いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 欠席が多いと高校に行けませんか?
A. 行けます。出席日数を選抜に使わない高校は増えており、通信制高校では欠席日数を問わないところがほとんどです。中学校卒業程度認定試験や高等学校卒業程度認定試験という道もあります。
Q. フリースクールに通うと出席扱いになりますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では教育支援センター等の公的機関が第一に想定されており、民間施設は「公的機関に通えない場合」に考慮される位置づけです。詳しくは教育支援センターとはをご覧ください。
Q. 費用が心配です
A. 教育支援センターは原則無料です。民間のフリースクールについては、利用料の補助制度を設けている自治体が増えています。就学援助もあわせて教育委員会に確認してください。
Q. 学校に戻ることを目標にしなくていいのですか?
A. はい。文部科学省の通知が「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す」と明記しています。学校復帰は選択肢のひとつであって、唯一のゴールではありません。
Q. 近くに通える場所がありません
A. ①校内の別室、②教育支援センターの訪問型支援、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)、④オンライン——の順で確認するのが現実的です。地域に選択肢がないことは、家庭の責任ではありません。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
Q1. デジタル教科書やAIドリルを使えば学力は上がりますか?
一律には言えません。効果は使い方や子どもの状況、目的によって変わり、研究も途上です。反復の定着には役立ちやすい一方、思考力や表現力は別のアプローチが必要とされます。「入れたから上がる」ではなく、目的に合わせて使うことが前提になります。
Q2. AIドリルだけで勉強は足りますか?
ドリルは反復・定着が得意な道具で、それだけで学びが完結するわけではありません。人と考えを交わす学びや、調べてまとめる・つくるといった経験と組み合わせることが、国の答申でも重視されています。
Q3. 紙とデジタル、どちらを選べばよいですか?
どちらか一方に決める必要はありません。書いて覚えたい場面は紙、検索・拡大・読み上げが役立つ場面はデジタル、というように目的で使い分けるのが現実的です。子どもの得意・不得意に合わせて選ぶとよいでしょう。
Q4. 視力や依存が心配です。どう付き合えばよいですか?
目と画面の距離を保つ、こまめに休憩する、就寝前の使用を控えるなど、家庭でのルールづくりが役立ちます。文部科学省の資料でも健康面への配慮が示されています。紙に書く時間や外遊びとのバランスも意識しましょう。
参考にした一次情報(公式)
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さらに、星野達郎校長が今回のテーマを動画でより熱く、詳細に解説しています。
「国の教育を作るメンバーが面接を受けたら全員落ちる話」など、記事では紹介しきれない内容はぜひ動画でご視聴ください!


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