【不登校はランの花】発達障害の子が学校に合わない本当の理由と、親ができる環境選び

不登校 発達障害

「うちの子、発達障害の気質があるから不登校になってしまったのかも…」
そんな風に、我が子や自分自身を責めて苦しんでいる保護者の方は少なくありません。

750名以上の不登校の小中学生が学ぶオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」。その校長を務める星野達郎(タツロー校長)は、「子どもを責めるのではなく、学校の構造や仕組みから考えるべきだ」と語ります。

本記事では、タツロー校長の独自視点から、「なぜ不登校には発達障害(グレーゾーン含む)が多いのか?」という理由と、子どもを守るために親ができることを解説します。

星野 達郎
星野 達郎 Tatsuro Hoshino
株式会社NIJIN 代表取締役 / NIJINアカデミー 校長

全国750名以上の小中高生が学ぶオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の校長を務める傍ら、2つの教師団体を主宰。これまで累計1,200名以上の教員向けに研修を実施し、学校の中と外、両面から教育課題の解決に取り組む。

その独自の教育実践はNHKやテレビ朝日など多くのメディアで特集され、「青年版国民栄誉賞」「内閣総理大臣奨励賞」を受賞するなど、各方面から高く評価されている。

確かな実績と熱い教育信念を持つ一方で、普段は生徒たちから気さくにいじられる「愛されキャラ」の校長として、日々子どもたちと本音で向き合っている。

目次

発達障害とは「多数派との差異が大きい」こと

そもそも発達障害とは何でしょうか?
タツロー校長は、発達障害を「多数派との差異が大きい層」と定義しています。

発達障害とは「多数派との差異が大きい」こと

世の中の6〜7割を占める「多数派(平均的な人々)」から大きく外れている特性を持つ場合、社会生活において「障害」という名前がつけられてしまうのが現状です。しかし、これは決して子ども自身が劣っているわけではありません。

子どもが学校に合わない理由は、大きく2つの視点から説明できます。

理由①:学校は「正規分布の真ん中」に合わせて作られている

学力テストの偏差値などでよく使われる「正規分布」。実は、学力だけでなく、人間の性格や性質(足の速さ、歌のうまさ、感覚の過敏さなど)も、この正規分布の形になると言われています。

理由①:学校は「正規分布の真ん中」に合わせて作られている
  • 真ん中の68%(多数派): 偏差値40〜60程度の、平均的な層。
  • 両端の20〜30%(少数派): 非常に特出した才能を持つ、あるいは極端に苦手なことがある層。

学校というシステムは、この「真ん中の68%(多数派)」に合わせて機能するように設計されています。「先生の話を静かに聞ける」「出された課題をこなせる」といった平均的な子どもにとっては、学校は非常に適した環境です。

タツロー校長

「発達障害っていうのは多数派から見た価値観なんで、平均的な人たちよりズレている人たち。だから、平均的な子どもたちに合わせられている学校の環境では、合わなくて当たり前なんですよ。」

理由②:「発達曲線」の形が全く違う

もう一つ重要なのが、子どもが成長する「発達曲線」の違いです。

理由②:「発達曲線」の形が全く違う
  • 多数派(定型発達)の曲線: 脳が若いうちにどんどん吸収し、小中学校時代にグッと成長して優等生になりやすい。しかし、大人になるにつれて成長が緩やかになることが多い。
  • 少数派(非定型発達)の曲線: 小中学校時代は「片付けができない」「じっとできない」など問題児扱いされやすい。しかし、15〜18歳頃からスタートアップ企業のように爆発的な成長を見せることが多い。
タツロー校長

「発達障害と言われる子たちは、15歳〜18歳頃に『多数派の成長』を大きく飛び越えるポテンシャルを持っています。ただ、今の学校ではその前に才能を潰されてしまうことが多いんです。」

少数派の子どもたちは、大器晩成型のポテンシャルを秘めています。しかし、多くの場合はその爆発的な成長期を迎える前に、学校のルールや「みんなと同じこと」を強要され、「自分はダメな人間なんだ」と才能を潰されてしまっているのが現状です。

学校の「機能」が子どもの特性に合っていない

さらに、学校が持つ独自の機能も、少数派の子どもを苦しめる要因になっています。

  • 同年齢・同地域の集団行動
  • 一律の基準とルールによる評価
  • 「口頭コミュニケーション」の偏重

特に、学校では「口頭での会話」が上手なことが評価されがちです。しかし、NIJINアカデミーの生徒たちの中には、小学生からプログラミングでゲームを作ったり、WEBデザインを行ったりする子もいます。デジタル空間で自分の発想を形にすることも、立派なコミュニケーションです。

学校の基準だけで測れない才能を、子どもたちはたくさん持っています。

学校の「機能」が子どもの特性に合っていない

不登校は「ランの花」。タンポポではない

タツロー校長はよく、学校に行っている子どもを「タンポポ」、不登校の子どもを「ランの花」に例えます。

タツロー校長

「不登校は『ランの花』、学校に行ける子は『タンポポの花』。タンポポは鈍感なのでどこでも咲きますが、ランの花は環境を選びます。でも、環境さえ合えば唯一無二の大きな花を咲かせるんです。」

発達障害やグレーゾーンだと診断された時点で、「この子は周りの子とは違うんだ」「違う成長の仕方をするんだ」と親が理解しておくことが、子どもを守る第一歩になります。

不登校は「ランの花」。タンポポではない

まとめ:親ができる最大の支援は「環境選び」

タツロー校長

「ランの花は自分で動けません。だからこそ、子どもが輝ける環境を選び抜くこと。それが保護者にできる最大の支援なんです。」

無理にタンポポの畑に植え付けて枯らしてしまう(=才能を潰してしまう)前に、その子に合った学びの環境を選び抜くこと。10歳の時に片付けができなかった子も、自分に合った環境で自己肯定感を潰されずに育てば、大人になる頃には驚くほどの成長を見せて追いつきます。

「うちの子はダメなんだ」と悲観するのではなく、「この子はランの花なんだ」と捉え、ぜひ子どもが最も輝ける環境を探してみてください。

あわせて読みたい

▶ 動画でより深く:YouTube(フル解説)

星野達郎校長が今回のテーマを動画でより熱く、詳細に解説しています。
「学校の歴史」や「新しいコミュニケーションの形」など、記事では紹介しきれない内容も含めて視聴できます。


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NIJINアカデミー|オルタナティブ...
NIJINアカデミー|不登校小学生・中学生のためのオンラインフリースクール ニジンアカデミーはオルタナティブスクールで、公立学校に合わなかった、引きこもり・発達障害・特性のある子どもたちが主体となって輝き、その子の状態に合わせて通い方を...

この記事の内容を確かめるための一次資料

発達特性の話は、ネット上に断定的な情報があふれています。診断や支援の枠組みは公的機関が定義しているものなので、判断に迷ったときは一次資料に戻るのがいちばん確実です。とくに支援級・通級の仕組みは自治体で運用が違うため、制度の原文を知っておくと学校との話が具体的になります。

下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。

このテーマに関わる公的資料
資料何がわかるか
国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」特性の定義と支援の基本。全国の支援センター一覧
文部科学省「特別支援教育」通級・支援級・支援学校の制度と対象の考え方
国立精神・神経医療研究センター医学的な情報と研究の一次情報
文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」小中の不登校353,970人。全国の最新の実数
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針
同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合)教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件
同 別記2(自宅でICT等を活用した学習)自宅学習を出席扱いにする7つの要件
文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件
文部科学省「COCOLOプラン」誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策
文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」全国1,045市区町村の公式相談窓口
教育機会確保法(e-Gov法令検索)第13条が「休養の必要性」を条文で認めている
こども家庭庁「子育て支援」子育て世帯が使える支援制度の全体像
国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料

学校に相談するときの進め方

1

① 支援の目標をすり合わせる

「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。

2

② 具体的な場所を挙げる

「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。

3

③ 出席扱いの要件を一緒に確認する

「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。

4

④ 決めたことを記録に残す

面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター全国1,045市区町村の窓口一覧

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

家庭でいまできること

制度や相談先が分かっても、明日からどう過ごすかは別の話です。うまくいかない日があって当たり前という前提で、いま無理なくできそうなものだけを選んでください。全部やろうとしないことが、いちばん大事なコツです。

いま家庭で確かめておきたいこと

睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)

食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか

頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)

「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか

保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか

学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか

声のかけ方で迷ったときは

「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。

逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。

相談先の選び方|どこに何を聞けるか

相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。

相談先の比較
相談先聞けること費用向いている場面
在籍校(担任・スクールカウンセラー)出席の扱い、校内の別室、学習の進め方無料まず学校での配慮を相談したいとき
教育支援センター(市区町村)学校外の公的な居場所、通所と出席扱い原則無料学校の外に一歩を踏み出したいとき
フリースクール(民間)体験活動中心の居場所、少人数の学び月1〜5万円程度興味や「やってみたい」から入りたいとき
オンライン自宅から参加できる学び、出席扱いの実務スクールにより異なる外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき
医療機関(小児科・児童精神科)体の不調の背景、診断と治療保険診療睡眠・食事・体の症状が続くとき
24時間子供SOSダイヤル子ども本人・保護者どちらの相談も無料・24時間いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310)

どこから始めればいいか迷ったら

まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)に電話してみてください。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。「今すぐ通える場所はありますか」「対象は何年生からですか」の2つを聞くだけでも、次の一手が見えてきます。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

学校に伝えるときの文例

言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。

① しばらく休むことを伝える

いつもお世話になっております。◯年◯組の◯◯の保護者です。
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。

毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。

② 配慮をお願いする

◯◯は、教室の人数と音の多さで疲れてしまうことが多いようです。
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。

「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。

③ 出席扱いについて相談する

学校外での学びについてご相談させてください。
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。

ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。

④ 面談のあとに送る確認メール

本日はお時間をいただきありがとうございました。
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。

口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。

伝える相手の順番

担任で止まっていると感じたら、学年主任 → 生徒指導主事 → 教頭・校長 → 市区町村の教育委員会(教育相談室)の順に相談先を上げてください。感情的にならず、これまでの経緯と依頼内容を時系列で整理して伝えるのが最短です。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。

この記事のテーマについて、よく寄せられる質問

同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。

Q. 診断がついていなくても、支援は受けられますか?

A. 受けられます。通級指導や校内の配慮は、診断名がなくても本人の困りごとを根拠に相談できます。就学相談や教育支援センターも同様です。診断は「支援を受けるための条件」ではなく、支援の設計を助ける情報のひとつだと考えてください。

Q. 支援級に移すべきか迷っています

A. 「どちらが正解か」ではなく、いまの学級でその子が消耗しているかどうかで考えるのが現実的です。学びの内容だけでなく、人数・音・切り替えの多さといった環境要因を見てください。判断の考え方は支援級に入れるべきかにまとめています。

Q. 特性があると、進路は狭くなりますか?

A. 狭くはなりません。不登校を公表した著名人のように、学校の枠に合わなかった人が別の道で力を発揮する例は多くあります。大事なのは「合う環境を選べるかどうか」で、選択肢は年々増えています。

Q. 学校に特性を伝えると、レッテルを貼られませんか?

A. 伝え方次第です。「◯◯障害です」と診断名だけを伝えるより、「音が大きいと固まってしまうので、席を後ろにしてほしい」と具体的な場面と対処で伝えるほうが、担任も動きやすくなります。

Q. 家庭でできる工夫はありますか?

A. 一度に多くを変えないことです。予定を紙に書いて見える場所に貼る、次の行動を1つだけ先に伝える——この2つだけでも負担が変わる子は多いです。うまくいかない日があっても、やり方が悪いわけではありません。

つらいときの相談先(24時間・無料)

  • 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
  • お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター

この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。

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