こんにちは、NIJINアカデミースタッフのぱるるです。
今回お話を聞いたのは、中学2年生の黒音さん。2024年12月にNIJINアカデミー(以下、ニジアカ)に入学しました。
入学からまだ1年ほどですが、oVice社へのプレゼン、学園祭へのイラスト出展、立川ダイスとの企画参加、動画編集、サークル活動など、さまざまな挑戦に取り組んでいます。
でもその背景には、学校でつまずき、家で静かに過ごしていた時期がありました。
どのようにして“やってみたい”が増えていったのか?
オンラインという安心の場と、プラ1クラスの仲間に出会ってからの日々をお届けします。
中1で足が止まった日々
黒音さんが学校に行けなくなり始めたのは、中学1年生の最初の頃。
「最初は相談室登校してたけど、先生とタイプが合わなくて……。一週間くらいで行けなくなりました。」
小学校の頃は基本的に毎日通っていました。小4で保健室登校をした時期もありましたが、優しい先生のサポートがあり復帰できたそうです。
「勉強も嫌いじゃなかったし、友達も浅く広く。まさか自分が不登校になるなんて思ってなかったです。」
中学校では環境が大きく変わり、その変化に疲れていったと話します。
「疲れちゃって……ついていけないというか。」
家では、父から「お母さんが帰ってきたときに何かしてたら?」と言われ、ゲームの代わりに絵を描くようになりました。
「絵を描いてると落ち着けました。ゲームだけだと怒られるし(笑)。」
当時、母は学校に戻れるかどうかを心配していましたが、祖父母と父はニジアカの情報を探し、そっと背中を押してくれました。
オンラインが“ありがたい”と思えたニジアカ
ニジアカを知ったのは、祖父母がテレビで見つけたのがきっかけ。そこから父経由で本人にも届きました。
ホームページを見て「楽しそうだな」と思った黒音さん。
一度は見学をキャンセルしたものの、数ヶ月の話し合いを経て入学を決意。
2024年12月、ニジアカでの生活が始まりました。
オンラインへの抵抗はほとんどなかったそうです。
「PCは昔から使ってたし、ネット友達とかもいるので。オンラインの方がむしろ気楽に話せるんです。」
“プラ1”という居場所
入学してからずっと所属しているのがプラ1クラス。
「メンバーがほぼ変わらなくて、仲がよくて安心できます。」
クラス会議は盛り上がりすぎて予定時間を超えるほど。
「11時から12時のはずなのに、次のクラス会議が始まる13時まで喋ってることもあります(笑)。」
ある日、担任のプラ先生が急に来られなくなったことがありました。
「大変でしたけど、自分たちでどうにかしようって動いて……。プラ先生ってすごいんだなって実感しました。」
ここでの“安心して喋れる時間”が、黒音さんの挑戦の土台になっていきました。

oViceへのプレゼン——「やめる」が浮かばなかった
ニジアカのメタバース校舎を開発するoVice社へ、子どもたち自ら改善提案をプレゼンしたプロジェクト。
黒音さんもそのチームの一員でした。
「最初は“本当にやるんですか?”って感じでした。でも、だんだん本気っぽくなってきて、やめるという選択肢は一回も浮かばなかったです。」
黒音さんには吃音があり、大勢や台本がある場では話しづらい場面もあります。
それでも、この時は自然と声が出たと言います。
「思ったより喋れたのが自分でも意外でした。チャットの反応がめっちゃ良くて、終わったあと全校フロアのチャットを見返してました。それくらい嬉しくて。」
その経験は、黒音さんの中で「自分が関わったものが形になる喜び」として強く残りました。
その後——。
oViceに“リアクション機能に好きな画像を入れられる設定”が追加されました。
実はこの機能、プラ1クラスがプレゼンで提案したアイデアがきっかけで実装されたと言います。
「自分たちが言ったことが、本当に形になるってすごいですよね……」
“届けた声”がプロダクトに反映される。
まさに、子どもたちの挑戦が社会を動かした瞬間でした。




小1から続く“好き”——イラストと学園祭
絵を描き始めたのは小1のころから。
「自由帳にずっと描いてました。デジタルは小4からです。飽きたことはないですね。」


学園祭の「みんなのすてき展」には、描き上げたばかりのイラストを出展。
「階段が描けなくて母にアドバイスもらいました。母は昔、雑誌の挿絵を描いてた経験もあって、アドバイスがもらえて助かりました。」
当初、学園祭のリアル会場には行かない予定でしたが、仲間が行くと聞いて心が動きました。
「バスケの試合があったけど、午前なら行けるなって。友達にも会えて、雰囲気も良くて、行ってよかったです。」
プラ1メンバーとの写真撮影、のんさんと声を交わせたこと…
すべてが黒音さんの“挑戦の記憶”として積み重なっていきました。


Bリーグ愛から始まった立川ダイス企画
黒音さんは大のバスケファン。
「越谷アルファーズが好きで、ホーム戦は全部行ってて、アウェイも関東ならだいたい行きます。佐賀まで行ったこともあります。」
そんな黒音さんにとって、全校HRで立川ダイスの方が登壇した日の衝撃は忘れられません。
「その場でチャットしようとしたけど重くて送れなくて(笑)。でもどうしても伝えたくて、すぐに、のんさんにDMしました。」
そこから企画への参加が決まり、動き出しました。
インタビュー時は、まさに準備の真っ最中。
「企画を主催するのは初めて。でも内容も固まってきて、あとは発表だけって感じです。みんなでつくるの楽しいです。」
そして迎えた 11月23日。
ついにニジアカ×立川ダイスのリアルイベントが実施されました。
当日は大好きなバスケに囲まれ、企画メンバーや先生と一緒に写真に映る黒音さんの姿がありました。
“好き”がつないだつながり。
準備期間のワクワクも、当日の笑顔も、そのまま黒音さんの挑戦を後押ししています。

言葉で振り返る時間——「ニジアカ生の学び日記」
黒音さんがもうひとつ挑戦しているのが、「ニジアカ生の学び日記」への参加です。
「最近、文章を書く機会が全然なくて……書きたいなって思ってたんです。」
そう感じていた矢先、クラス会議でZさんが学び日記の話題を出してくれました。
「入りたいんだよね」とこぼした黒音さんに、学び日記の集まりが始まったタイミングでZさんがDMを送ってくれたのがきっかけでした。
最初に書いたのは、oVice社へのプレゼンの振り返り。
「校長からも褒めてもらえて、書いてよかったなって思いました。」
伝えたいことが文章になり、仲間からコメントが返ってくる。
そのやり取りが“書く楽しさ”を思い出させてくれたと言います。
ちょうどその頃、のんさんともやり取りをするようになり、学び日記が新しいつながりのきっかけにもなりました。
「書くの、嫌いじゃないんですよね。字を書く機会も減ってるから、ノートに手書きでも何か書きたいなって思ったりもします。」
絵や動画と同じように、“言葉で表現する挑戦”が少しずつ広がっていました。

少しずつ「自分のペース」が分かってきた
全校HRでは、予定されていなかった校長の突然の振りにより、急に発表することになった黒音さん。
「急になら話せるんですよね。台本があると逆に話せないんです。」

吃音と向き合いながら、自分が話しやすいパターンを理解していく。
発表だけでなく、作品やチャットで伝える方法も使い分けています。
「声だと聞き取りづらいかもしれないから、インタビューもチャットでお願いしました。」
その“自分のペース”が、挑戦の継続を支えていました。

これから挑戦したいこと
最近はリアルの企画にももっと参加したいそうです。
「夏のコンクールとか、気づいたら終わってたので(笑)、来年は挑戦したいです。」
動画制作サークルでは編集作業に夢中。
「テーマ決めて動画作るの楽しいです。」
クラス会議での発表資料も率先して作っています。
ニジアカでの挑戦が増える中で、黒音さんは静かに、でも確かに前に進んでいます。
安心できるオンラインの環境と、プラ1の仲間の存在。
その中で「やってみたい」が少しずつ増えていきました。
これからも黒音さんが自分のペースで歩み、挑戦していく姿を、私たちはずっと応援しています。

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この記事の内容を確かめるための一次資料
学校以外の学びの場は、この10年で制度が大きく変わりました。いまは「学校復帰だけがゴールではない」というのが国の公式な立場です。選択肢の全体像と、それぞれが制度上どう扱われるかを押さえておくと、進路の話が現実的になります。
下の資料はすべて国・自治体・公的機関が出している一次情報です。学校や教育委員会と話すときは、この原文を示しながら相談すると、担当者によって対応が変わることを避けられます。
| 資料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 文部科学省「学びの多様化学校の設置者一覧」 | 全国84校。旧・不登校特例校の全リスト |
| 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」 | 高校に通わずに大学受験資格を得る制度 |
| 文部科学省「就学援助」 | 学用品費・給食費などの経済的支援 |
| 文部科学省「令和6年度 問題行動・不登校等調査」 | 小中の不登校353,970人。全国の最新の実数 |
| 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」 | 「登校という結果のみを目標にしない」という国の方針 |
| 同 別記1(学校外の施設で相談・指導を受ける場合) | 教育支援センター等に通った日を出席扱いにする要件 |
| 同 別記2(自宅でICT等を活用した学習) | 自宅学習を出席扱いにする7つの要件 |
| 文部科学省「欠席中に行った学習の成果に係る成績評価」 | 2024年8月の改正。学習成果を成績に反映できる3要件 |
| 文部科学省「COCOLOプラン」 | 誰一人取り残されない学びの保障に向けた国の対策 |
| 文部科学省「不登校に関する地元の相談窓口」 | 全国1,045市区町村の公式相談窓口 |
| 教育機会確保法(e-Gov法令検索) | 第13条が「休養の必要性」を条文で認めている |
| こども家庭庁「子育て支援」 | 子育て世帯が使える支援制度の全体像 |
| 国立教育政策研究所「生徒指導リーフ」 | 研究にもとづく生徒指導の考え方をまとめた資料 |
学校に相談するときの進め方
① 支援の目標をすり合わせる
「令和元年10月25日の通知にあるとおり、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的な自立を目指す形で相談させてください」——最初にここを共有しておくと、その後の話が噛み合いやすくなります。
② 具体的な場所を挙げる
「教育支援センターの利用を考えています」「オンラインのスクールを検討しています」と場所を具体的に伝えます。抽象的な相談より判断してもらいやすくなります。
③ 出席扱いの要件を一緒に確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
④ 決めたことを記録に残す
面談のあとに「本日確認したこと」をメールなどで送っておくと、担任が変わっても引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター(全国1,045市区町村の窓口一覧)
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
東京都で使える公的な支援と相談窓口
民間の教室やスクールを探す前に、東京都で公的に使える支援を知っておくと、費用も選択肢の幅も変わります。市区町村の教育委員会が運営する教育支援センター(適応指導教室)は利用料が原則無料で、通った日は在籍校の出席扱いにできます。
東京都の小中学校の不登校児童生徒数は33,831人(令和6年度・文部科学省調査)。在籍者に占める割合は約3.57%で、全国平均は約3.86%です。ひとりで抱えている家庭が、それだけ多くあるということでもあります。
東京都全体の相談窓口
| 窓口 | リンク |
|---|---|
| 東京都教育委員会 不登校・中途退学対策 | 公式ページを見る |
| 東京都教育委員会 生活指導ポータル | 公式ページを見る |
| 東京都教育相談センター | 公式ページを見る |
| TOKYO多様な学びの場・居場所ナビ | 公式ページを見る |
| 24時間子供SOSダイヤル(全国共通・無料) | 0120-0-78310 |
東京都内48市区町村の窓口をまとめた一覧は、東京都の教育支援センター(適応指導教室)一覧にあります。掲載しているリンクはすべて実際にアクセスして到達を確認済みです。
東京都で相談を始めるときの進め方
どこに何を聞けばいいか分からないまま電話すると、たらい回しになりがちです。順番を決めておくと、1本の電話で話が進みます。
相談の順番
① 在籍校か、市区町村の教育相談窓口に連絡する
担任・スクールカウンセラーに伝えるか、東京都の教育委員会(教育相談室)に保護者から直接電話します。多くの自治体が保護者からの直接相談を受け付けています。
② 「今すぐ通えますか」「対象は何年生からですか」を最初に聞く
教育支援センターは定員があり、小4以上を対象とする自治体が多いです。ここを最初に確認すると、次の手を早く打てます。
③ 見学・体験から始める
保護者だけの見学から始めても構いません。部屋の雰囲気と、指導員との相性を見てください。
④ 出席扱いの扱いを学校と確認する
「別記1(通所)/別記2(自宅ICT学習)の要件を満たすために、こちらで何を用意すればよいでしょうか」と聞きます。「認めてください」ではなく「何を用意すればよいか」のほうが通ります。
費用の負担を軽くする制度
- 教育支援センターは利用料が原則無料(教材費・昼食・交通費は自己負担の場合あり)
- 就学援助(学用品費・給食費などの補助)は、東京都の教育委員会が窓口です
- フリースクール利用料の補助制度を設けている自治体も増えています。東京都に制度があるか、教育委員会に直接お問い合わせください
東京都に関するよくある質問
Q. 東京都の教育支援センターは無料ですか?
A. 利用料は原則無料です。市区町村の教育委員会が運営する公的機関のためです。ただし教材費・体験活動の材料費・昼食・交通費は自己負担になることがあります。給食がない施設が多く、弁当持参が一般的です。
Q. 東京都で通える場所がない場合はどうすればいいですか?
A. ①在籍校の校内別室(保健室登校を含む)を確認する、②訪問型支援があるか窓口で聞く、③自宅でのICT学習を出席扱いにする道(別記2)を学校と相談する、④オンラインを検討する——の順で当たるのが現実的です。東京都の状況によっては、通える範囲に施設がないこともあります。
Q. 学校を休ませてもいいのでしょうか?
A. 教育機会確保法の第13条は、「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」と条文で明記しています。休むことは制度の外側にある逸脱ではなく、法律が想定している状態です。文部科学省の通知も「『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく」と述べています。

