夏休みに入ると、中学生の間で「志望校どうする?」という話題が一気に増えます。周りが進路を語り始めると、自分だけ取り残されているように感じることがあります。これは、多くの中学生やその保護者が経験することです。
特に、不登校や行き渋りの経験があるお子さんの場合は注意が必要です。発達特性のあるお子さんを持つご家庭でも同様です。「全日制でやっていけるのか」という不安があります。「学校選びに正解はあるのか」という不安もあります。そのため、悩みがより複雑になりがちです。そこで、この記事では夏に中学生が直面しやすい「4つの悩み」を整理します。あわせて、それぞれの向き合い方を保護者向けに解説します。
📝 この記事でわかること
- 夏に中学生が直面しやすい「志望校・学力・将来・親子のズレ」という4つの悩み
- 不登校・行き渋り・発達特性のあるお子さんの高校選びで知っておきたい選択肢
- それぞれの悩みに保護者がどう向き合えばよいかの具体的なヒント
夏に中学生が直面する「4つの悩み」
夏は、進路指導や模擬試験が本格化する時期です。そのため、中学生にとって進路の悩みが最も表面化しやすくなります。まずは、よくある4つの悩みを確認しましょう。
① 志望校が全く決まらない
- 周りが「〇〇高校を目指す」と言い始め、自分だけ取り残されている気がする
- 全日制、私立・公立、通信制など選択肢が多すぎて選べない
② 学力(偏差値)が足りない
- 行きたい高校はあるが、今の成績や内申点では合格圏内に届かない
- 夏の模擬試験の結果を見て、自信を無くしてしまう
出典:類塾ブログ
③ 将来やりたいことがない
- 夢や「好きなこと」がないため、何を基準に高校を選べばいいか分からない
- なんとなく普通科に行けばいいのか悩む
出典:明光義塾 plus、アガルートコーチング、ゼロ高 report18
④ 親や周囲との意見のズレ
- 自分は「友達と同じ高校」や「部活」で選びたい
- 親は「進学実績」や「通いやすさ」を求めてきて、衝突してしまう
不登校・行き渋り・発達特性のあるお子さんが高校を選ぶときに大切なこと
不登校や行き渋りを経験したお子さん、発達特性のあるお子さんもいます。そうしたお子さんにとって、「志望校が決まらない」という悩みがあります。これは、選択肢の多さだけが原因ではありません。なぜなら、「毎日同じ時間に同じ教室へ通い続けられるか」という不安があるからです。この不安が、進路選びそのものを難しくしているケースも多くあります。
通信制・定時制という選択肢を知っておく
全日制の高校生活に不安が残る場合は、通信制高校や定時制高校も選択肢になります。通信制高校では、自宅で学習を進めることができます。一方、定時制高校は夜間に授業を行います。通信制高校は全国に数百校あります。そのため、登校日数や学習スタイルを比較してみましょう。そのうえで、お子さんに合った通い方を選ぶことができます。
オルタナティブ教育から高校進学へつなぐ視点
オルタナティブ教育を受けてきたお子さんもいます。たとえば、モンテッソーリやフリースクールなどです。その場合、高校進学では通信制高校や私立高校が選択肢の中心になることが多くあります。なぜなら、オルタナティブスクールの多くは小中学校段階までだからです。そのため、高校進学のタイミングで一般的な高校へ移る前提を持っておくとよいでしょう。早めに情報収集を始めておくと安心です。
「合格できるか」より「合う環境かどうか」で選ぶ
発達特性のあるお子さんの場合、授業形式や教室の人数を確認しましょう。サポート体制が合っているかどうかも重要です。これらが、3年間続けられるかを左右します。また、別室受験や問題文の読み上げなど、配慮を行っている高校もあります。そのため、学力だけでなく「環境が合うか」を基準にしましょう。学校見学や相談を進めることをおすすめします。
4つの悩みへの向き合い方
志望校が決まらないときは「仮の志望校」でいい
夏の段階で志望校が固まっていなくても、慌てる必要はありません。まずは、今の学力で無理なく通えそうな高校をいくつか挙げてみましょう。その中から「ひとまずの志望校」を決めておきましょう。学習や情報収集の的が絞りやすくなります。なお、途中で変更しても問題ありません。そのことを、お子さんにも伝えてあげてください。
学力が足りないと感じたら、今の成績を出発点にする
模試の結果に落ち込むお子さんもいます。そのようなときは、点数そのものより「夏からどう伸ばすか」に目を向けましょう。そうした声かけが助けになります。また、内申点を含めた現実的な合格ラインを一緒に確認しましょう。そのうえで、無理のない学習計画を立てることが、自信を取り戻す第一歩になります。
やりたいことが見つからなくても、普通科という選択は間違いではない
将来の夢が明確でないことは、中学生にとってごく自然なことです。たとえば、普通科を選んで進学先の幅を残すという方法もあります。あるいは、興味のある分野が少しでもあれば、専門学科を選ぶ方法もあります。通信制で深めてみるのもよいでしょう。さらに、「今すぐ決めなくていい」という前提を保護者が示すことも大切です。それが、お子さんの焦りを和らげます。
親子で意見がすれ違ったときは、優先順位を一緒に書き出す
「友達と同じ高校に行きたい」「部活で選びたい」というお子さんの希望があります。一方で、「進学実績」「通いやすさ」を重視する保護者の希望もあります。どちらも間違いではありません。そこで、何を優先するかを親子で一緒に紙に書き出してみましょう。議論ではなく整理として話し合う場を持つと、感情的な衝突を避けやすくなります。
まとめ:夏に全部を決めなくていい
「志望校が決まらない」「学力が足りない」「やりたいことがない」「親と意見が合わない」。これらの悩みは多くあります。いずれも、多くの中学生が夏に経験するものです。つまり、特別なことではありません。また、不登校や行き渋り、発達特性があるお子さんの場合は注意が必要です。全日制・通信制・定時制・オルタナティブ教育からの移行など、選択肢は多くあります。広く知っておくことが安心材料になります。
夏の時点で完璧な答えを出す必要はありません。まずは、「ひとまずの方向性」を親子で共有しましょう。そのうえで、お子さんのペースに合わせて少しずつ情報を集めていきましょう。それが、納得できる進路選びへの一番の近道です。
動画で見る|【不登校】夏休み明けに増えるのは「子どもが急に行きたくなくなる」からではありません。子どもが学校に行けなくなるまでの本当の理由
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いま家庭で確かめておきたいこと
睡眠のリズムが崩れていないか(起きる時間より、寝る時間を先に整えるほうがうまくいきます)
食事が極端に減っていないか。体重の変化はないか
頭痛・腹痛・立ちくらみなど、体の訴えが続いていないか(続く場合は受診を検討してください)
「学校の話」以外で笑える時間が、1日に少しでもあるか
保護者自身が眠れているか。抱え込んでいないか
学校との連絡窓口が、担任1人に集中していないか
声のかけ方で迷ったときは
「なんで行けないの」と理由を問うと、子ども自身も説明できないことが多く、答えられない自分を責めてしまいます。理由を聞くより、いまの状態を言葉にして返すほうが伝わります。「しんどそうだね」「今日はゆっくりでいいよ」——それだけで十分な日があります。
逆に、避けたほうがよい言葉もあります。「みんな行ってるよ」「そんなことでどうするの」「甘えてるだけでしょ」。どれも本人がすでに自分に言っている言葉なので、外から重ねると逃げ場がなくなります。
相談先の選び方|どこに何を聞けるか
相談先はひとつではありません。それぞれ役割が違うので、聞きたい内容で選ぶと早く進みます。
| 相談先 | 聞けること | 費用 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 在籍校(担任・スクールカウンセラー) | 出席の扱い、校内の別室、学習の進め方 | 無料 | まず学校での配慮を相談したいとき |
| 教育支援センター(市区町村) | 学校外の公的な居場所、通所と出席扱い | 原則無料 | 学校の外に一歩を踏み出したいとき |
| フリースクール(民間) | 体験活動中心の居場所、少人数の学び | 月1〜5万円程度 | 興味や「やってみたい」から入りたいとき |
| オンライン | 自宅から参加できる学び、出席扱いの実務 | スクールにより異なる | 外に出るのが難しい/近くに選択肢がないとき |
| 医療機関(小児科・児童精神科) | 体の不調の背景、診断と治療 | 保険診療 | 睡眠・食事・体の症状が続くとき |
| 24時間子供SOSダイヤル | 子ども本人・保護者どちらの相談も | 無料・24時間 | いますぐ誰かに聞いてほしいとき(0120-0-78310) |
どこから始めればいいか迷ったら
学校に伝えるときの文例
言いたいことは決まっていても、いざ書こうとすると手が止まる——という声をよく聞きます。そのまま使える形にしました。丁寧すぎる必要はありません。事実と、してほしいことが伝われば十分です。
① しばらく休むことを伝える
本人の体調と気持ちの状態から、しばらく学校をお休みさせていただきます。
毎朝のご連絡が負担になっているため、こちらから連絡がない日は欠席としてお取り扱いいただけますでしょうか。状況が変わりましたら、その都度ご連絡いたします。
毎朝の欠席連絡は、家庭にとっても学校にとっても負担です。先にこの一文で合意しておくと、朝の消耗がなくなります。多くの学校が対応してくれます。
② 配慮をお願いする
つきましては、登校できた日は保健室や別室で過ごさせていただくことは可能でしょうか。
また、給食の時間だけ別室にする、掃除の時間は無理をさせない、といった形でもかまいません。
本人が続けられる形を一緒に考えていただけると助かります。
「配慮してください」だけでは学校も動きにくいので、場面と具体的な対処をセットで書くのがコツです。診断名は必須ではありません。
③ 出席扱いについて相談する
文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日)に、学校外の施設で相談・指導を受けた場合や、自宅でICT等を活用した学習を行った場合の指導要録上の出席扱いについて定めがあると伺いました。
本校ではどのような運用になっていますでしょうか。また、要件を満たすために家庭で用意すべきものがあれば教えてください。
ポイントは「認めてください」ではなく「何を用意すればよいですか」と聞くことです。学校側も判断材料を求めています。要件の全文は教育支援センターとはの記事に原文どおり掲載しています。
④ 面談のあとに送る確認メール
確認させていただいた内容を念のためお送りします。
・当面は◯◯(別室/午後のみ など)で対応いただく
・◯◯(教育支援センター等)への通所を検討し、決まり次第ご連絡する
・出席の取り扱いについては、◯月◯日までにご回答いただく
認識に相違がありましたらお知らせください。
口頭の合意は、担任が変わると消えてしまいます。短くていいので記録に残しておくと、翌年度も引き継がれます。学校側にとっても助かる手順です。
伝える相手の順番
まぎらわしい用語の整理
不登校について調べていると、似た名前の制度がいくつも出てきて混乱しがちです。いちばん多い誤解は「教育支援センター」と「学びの多様化学校」を同じものだと思ってしまうことです。前者は在籍校に籍を置いたまま通う「施設」、後者は転校して在籍する「学校」で、まったく別物です。
| 用語 | 正体 | 在籍 | 費用 | 出席の扱い |
|---|---|---|---|---|
| 教育支援センター (=適応指導教室) | 市区町村の教育委員会が運営する施設 | 在籍校のまま | 原則無料 | 要件を満たせば出席扱い |
| 校内教育支援センター (=校内の別室) | 在籍校の中に置かれた部屋 | 在籍校のまま | 無料 | 出席として扱われる |
| 学びの多様化学校 (旧・不登校特例校) | 特別の教育課程を組める正式な学校(全国84校) | その学校に転校 | 公立は無償/私立は学費 | 通常の出席 |
| フリースクール | NPOや民間企業が運営する民間施設 | 在籍校のまま | 月1〜5万円程度 | 要件を満たせば出席扱い |
| オンラインスクール | 自宅から参加する民間のスクール | 在籍校のまま | スクールにより異なる | 自宅ICT学習の要件を満たせば可 |
| 通信制高校・サポート校 | 高校段階の学校と、その学習を支える施設 | その高校に在籍 | 学校により異なる | 高校の在籍として扱われる |
この表でとくに見ておきたいのは「在籍」の列です。転校が必要かどうかで、手続きも心の準備もまったく変わります。教育支援センターやフリースクールは在籍校に籍を残したまま通えるので、「合わなければ戻る」ことができます。
名前が違っても中身は同じことがあります
この記事のテーマについて、よく寄せられる質問
同じような状況の方から実際によく届く質問をまとめました。あてはまるものから読んでください。
Q. 学校を休ませてもいいのでしょうか?
A. 教育機会確保法の第13条は「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」と条文で明記しています。休むことは制度の外側にある逸脱ではなく、法律が想定している状態です。
Q. どこに相談すればいいですか?
A. まずは市区町村の教育委員会(教育相談室)です。学校を通さずに保護者から直接相談できる自治体がほとんどです。全国の窓口は文部科学省のページから探せます。
Q. 学校以外に、どんな場所がありますか?
A. 教育支援センター(適応指導教室)は原則無料の公的な居場所、学びの多様化学校は特別の教育課程を組める正式な学校、ほかにフリースクールとオンラインがあります。
Q. 出席扱いにできますか?
A. 要件を満たせば校長の判断で可能です。通所する場合は別記1、自宅でICT等を活用して学ぶ場合は別記2の要件があります。令和6年度は学校外の機関等で42,978人、自宅ICT学習で13,261人が出席扱いになっています。
Q. この先どうなるのか不安です
A. 不登校の経験がその後を決めるわけではありません。不登校を公表した著名人12人のように、別の道で力を発揮している人は多くいます。いまは先を決めるより、目の前の回復を優先してよい時期です。
つらいときの相談先(24時間・無料)
- 24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(全国どこからでも、24時間・無料。子ども本人も保護者も利用できます)
- お住まいの市区町村の教育委員会 教育相談室/教育センター
この記事は情報提供であり、医療的・心理的な診断や個別の助言に代わるものではありません。心身の不調が続く場合は、かかりつけ医やスクールカウンセラーにご相談ください。
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つらい気持ちを今すぐ話したいとき(全国共通・24時間)
24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310
お子さんからでも、保護者の方からでも相談できます。お住まいの地域の教育相談センターにつながります。

